示談書は争いをどう決着するかを、当事者同士で確認し合うというものでは意味がありません。示談書には、争いごとの決着方法を正確に記し、その内容も効力のあるものにしなければなりません。実際に、当事者同士で交わした示談書や和解契約だけでは済まず新たな争いが発生し、最終的に裁判によって決着せざるを得ない問題に発展したケースはたくさんあります。
生きて生まれることを停止条件として権利能力を胎児の時点に遡って認める停止条件説というものがあります。この判例の場合、胎児を生まれたものと同じ扱いをしない停止条件説を使った判例ということになります。
法律に精通した人間であれば、こういった停止条件説というものがあることなどを考慮した和解契約、また示談交渉ができると思いますが、一般の方々には胎児イコール自分の子供という意識が強いと思います。自分の子供の将来のことですから、母親が代理人になるというのも、当たり前のことに感じますし、実際に権利があると思うのも無理はありません。
こういった法的な見解なしに和解契約を行ったり、示談書を交わしたり、ということによって、その後、大きな問題となる場合も出てきます。示談書をその後の生活の補償になるように、意味のあるものとするためには、専門知識が必要であるということです。
どのような示談書であっても、示談を交わすことが意味ある内容にしなくてはなりません。当事者同士が納得し、法的な問題のないような示談書にすることがとても重要だということなのです。示談書が意味のないものとなってしまえば、のちに裁判等を必要とする大きな問題となることも少なくありません。